2017年12月20日水曜日

神戸金史さんの講演を聞いてきました。。 ≪その壱≫



先日、ある講演を聞きに行きました。

自閉症の子をもつ元新聞記者で神戸(かんべ)金史(かねぶみ)さんという方の講演です。

障害を持つ息子へ』(ブックマン社 2016)という本の著者でもあります。





とても考えさせられる内容だったので書いておきたいと思います。

まず紹介されたのが新聞記者時代に神戸さんが書かれた記事でした。

新聞記者だった神戸(かんべ)氏は、結婚する前に、12時前には帰らないから、と宣言していました。

それは新聞記事の締め切りが夜中の1時なので、1時までは原稿を書ける、というところかららしいです。

先輩からは、記者とはケンカを受けること、社会と戦うのが仕事だといわれており、結婚前の宣言通り12時過ぎの帰宅が続き、子育ては妻まかせであったそうです。

子供に障害があることがわかっても、それを本当に受け入れるまで4年かかったといいいます。

朝、子供が健常児のように話しかけてきて、やっぱり思い過ごしだったんだよ、と妻に言う夢をよくみたそうです。

息子の言動にこんな意味があるんじゃないか、、と思って妻に話すと、2年遅い、、といつも言われていたそうです。

そんな中、妻からあることを打ち明けられます。それは、子どもが2歳の頃、本気で子どもに手をかけようとしたことがあるとのことでした。

新聞記者である自分の家庭が事件現場になっていたかもしれない、と衝撃を受けたそうです。

ちょうどその時、あるワイドショーで一家心中が取り上げられていました。その画面には‘3人の子を殺した鬼母’というスーパーが踊っていたそうです。

それを見た時に、ひょっとすると無理心中した家庭には障害児がいたんじゃないか、と直感し、取材を開始します。

調べていくと、確かに障害児をもつ家庭の一家心中は多いということがわかってきたそうです。

その中で新聞記事にもとりあげられた事件について、更に記事に書かれていない裏の話を聞かされました。

  それは、母が、障害をもつ末っ子の男の子と上の健常の娘2人の首をしめて殺し、本人もマンションから飛び降りて自殺し、仏壇には骨壺が4つ並んでいるという記事でした。

お宅に伺い話を聞いていると、祖母(自殺した娘の母)がとつぜん収拾がつかないくらいの勢いで泣き出しました。誰にも話したことがない話があると言うのです。

それは、娘がまだ結婚する前のこと、別の男性ともお付き合いをしていたが、その男性に障害のある兄弟がいたので、母はその男性とは別れるように言ったそうなのです。

しかし結婚して子供が生まれると、3番目の男の子が障害を持っていました。

娘は自分のせいだと強く思っていたようで、また上2人の娘も、たぶん単なる発達の個人差であったのであろうが、一方は少し言葉が遅れ気味で、もう一人は足があまり速くなかったそうで、それらも自分のせいだと思っていたようです。

そして兄弟に障害者がいれば、二人の娘は結婚できないだろう、と思い詰め、自殺に至ってしまったのではないか、ということでした。

なんと母の障害者に対する差別が、巡り巡って自分に戻ってきたということのようで、なんとも痛ましい、悲惨としかいいようのない事件です。

神戸さんが話されていたのは、最終的に一家心中をしてしまう時にはあるキーワードがあるといいます。

それは娘が実母に子育てに関して相談した時に「私もたいへんだったけど、一時のことよ」という言葉なのだそうです。

そう言われて絶望し、手をかけてしまうという。母は娘をねぎらっているつもりで言っているのに、その一言で心中を決意してしまったケースが多いそうです。

もし母が自閉症や障害に関して少しでも知識があれば、そのような発言はなかったのかもしれません。


つづく、、


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