2010年1月29日金曜日

分析とつながり~ダイエット、脳科学、臨床心理



先週のためしてガッテンで、

女性の最強ダイエット 完結編
http://cgi2.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20100120

というものをやっていました。

この中で、男女の脳の違い(脳の性差)を利用するというものがありました。

すなわち、一般的に男性は分析が好きで、女性は関係性、つながりをもっていることが好きであるということ。

したがってダイエットにおいても、分析だけでなく、女性は特にこのようなつながり、つまり友達と誘いあってダイエットをすることが薦められていました。

ダイエットにおけるこの着眼点はなかなかユニークだなと感じました。

また、「その場駆け足」によって一瞬にして空腹感を消滅させるなども面白い発想です。


私はかつてこのような本を読んだことがあるのですが↓



この本の中に、男女の会話のすれ違いの原因というものが書かれていました。

男性の話は、話しをしている内容、問題を解決することに会話の重きがあるのに対して、

女性の場合は、話していることそのこと自体を大事だと考えているというものでした。

したがって、男性は問題を解決して話しをすぐに切り上げようとしすぎないように注意する必要があり、

また女性は無意識のうちに会話を伸ばそう、伸ばそうとしすぎないように注意する必要があるとのことでした。

それぞれがこのような違いを認識しているだけで、お互いに対する理解が相当違ってくるだろうなという気がします。


私は、今回ダイエットにこの脳の性差を利用するというのを聞いたとき、ナルホドと感じました。

しかしこのような脳の性差は、会話やダイエットだけでなく、これからはあらゆる分野に広げて考えていくべき問題だと思います。


いま世界を席巻しているのは、圧倒的に男性原理です。

その中に切る・分析の最先鋒たる科学があり、競争、発展などに重きが置かれてきていましたが、

これからは、女性原理である「つながり・関係性」が求められてくるだろうと思います。


私は久しぶりに河合隼雄さんの本


こころと脳の対話



を読んだのですが、彼は常に科学と関係性というものを考えてきたそうです。




河合さんは、分析とともに関係性を視野に入れた、新しい科学というのをずっと模索してきたそうなのですが、

これを統合するのには相当の天才が出ないと無理ではないかと述べています。






個における、男性原理と女性原理の統合といのはユングにおける究極のゴールでもありますが、

いまは時代そのものがこの二つの統合の方向に行かなければならない時期にきているのではないかという気がします。


この男性原理と女性原理というのは、河合さんにおいては「中心統合型」「中空均衡型」としても語られています。






このような男性原理と女性原理の統合というのは、そうとう先になるだろうと河合さんや対談相手である脳科学者の茂木さんも予想しているようですが、

脳科学者のテイラー博士のような人たちの出現を思うと、意外とそう遠いことではないような気もします。

河合さんが宗教と科学の接点となるのは仏教ではないかと述べているのと、

テイラー博士が自らの体験を涅槃という仏教用語を用いて語っているところも妙に符合する点です。


河合隼雄さんはこの本の最後に次のように述べていました。





前回の「秀吉による朝鮮出兵」でテーマにした成長、発展というのは、まさに男性原理、「すること(doing)」です。

それに対する女性原理、「あること(being)」= あるがままを受け入れること、という切り口になろうかと思います。

以上をおおざっぱにまとめると、

男性(父性)原理:切ること、分析、科学、スサノオ、中心統合型、成長、発展、何かをすること(doing)」

女性(母性)原理:つながり、関係性、宗教、仏教、アマテラス、中空均衡型、あるがまま、「あること(being)」

となろうかと思います。

この先、日本が世界に新しいヴィジョンを示す役割を果たすのではないかということをいう人がいますが、

それはおそらく、母性的なアジアの中にあって、いち早く西洋文明を吸収しえた、

つまり分析的な思考形態を取り入れることが出来たということと関係しているかと思います。

だから正確に言うと、日本が世界をリードして行くというのではなく、日本があらわしているもの、日本的なものが世界のひな型になるのかなという気がします。


私たちは自分たちの日常生活のあらゆる場面においても「分析とつながり」という視点でチェックしてみるというのは面白いかなと思うのです。

そしてどちらかに偏り過ぎることなく、両方をうまく生かすことでより豊かな生き方が出来るようになるのだろうと思います。

それが河合さんの言いたかった、「もうちょっと上手にやったら幸福になれる」ということであり、

ユングが究極のゴールとした「個の全体性を生きる」ということになるのではないかと思います。




おしまい


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