2009年11月9日月曜日

アインシュタイン・ロマン ~エンデの文明論~



先日のブログで、「
エンデの遺言」を紹介しましたが、

このエンデの経済に対する考えは、彼の生前のNHKとのインタビューから始まっていたようです。


あの番組を知ってから図書館でこの本を借りてきました。



エンデの文明砂漠
ミヒャエル・エンデと文明論 (アインシュタイン・ロマン6)



----------- 内容 -----------

19世紀以降、科学・技術が急激に発達してきた結果、いまや自然環境の破壊ばかりではなく、人間の内なる世界の荒廃が進んでいる。

現代を代表する作家ミヒャエル・エンデは、それを“文明砂漠”とよび、その砂漠化に、アインシュタインもふくめた自然科学的思考がかかわっているという。

人類の未来に希望はもてるのか。

エンデの考察は、西洋文明への批判から、新しい自然科学の可能性、そしてファンタジーにまでおよぶ。アインシュタイン・ロマンの3年におよぶ集大成。

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このアインシュタイン・ロマンはかつてNHKで連続ものとして放送されたもので、その最後を締めくくるものとして、ミヒャエル・エンデの考えが紹介されているようです。

この中で、エンデの文明論が紹介され、それまでのように単にアインシュタインを神格化し、称賛するものとは一線を画し、むしろ彼を批判する立場に立って論が展開されていくようです。

(まだ読み途中なもので、、、いずれこのアインシュタイン・ロマン全6冊も目を通してみようと思ってます)


この本の最初の方に、まさに彼が伝えようとしたお金のシステムの欠陥が述べられていました。

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私の見るところ、悪のすべてのルーツは現在の私たちのお金のシステムと、実際の経済システムとの不調和にあります。

<中略>

私たちは、現実の経済および工業生産が、つねに成長し続けるように強制することがないお金のシステムを得なければなりません。

現状の経済が、つねに成長し続けること、しかも毎年最低三~四パーセントの成長率があってこそのみ存在し得るものであるということは、私にはほんど信じ難いことです。

この世に際限なく成長し続け得るものは何もありません、をのぞけば。

癌は患者が死ぬまで成長し続けます。私は、今のお金のシステムに、人体の癌に似たものがあるような気がするのです。

つまり成長の強制です。(p.18)

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私は前に書いた
原発解体の所で、癌と社会のエネルギーの過剰消費がパラレルであることについて書きましたが、

エンデは、経済のあり方と癌という病に相似構造を見てとっているようです。


先日のネットのニュースでちょうど以下のようなものがありました。


肥満が「がん」誘発、年間10万人以上と 米研究


11月6日13時15分配信 CNN.co.jp-------------------

(CNN) 肥満で誘発された「がん」を発症する患者が年間10万人を超えているとの研究報告を、米国がん研究財団(AICR)が5日、発表した。肥満とがん患者の数を具体的に調査した研究は初めて。

研究者は肥満と関係が深い7種類のがんを調べ、肥満によって引き起こされたと考えられる実際の症例数を計算した。

その結果、子宮内膜がんの49%が、脂肪過多によって引き起こされていた。このほか食道がんの35%、脾臓(ひぞう)がんの28%、腎臓がんの24%、胆のうがんの21%、乳がんの17%、大腸がんの9%が、それぞれ肥満が原因だと見られるという。

過多の脂肪がなぜ、がんリスクを高めるかという理由は科学的には解明されていない。しかし、脂肪組織が作る女性ホルモン「エストロゲン」量の増加や、脂肪が増加することにより活性酸素で酸化性ストレスが生じることが原因ではないかとされている。

米国がん協会(ACS)も、今回の調査報告を評価。肥満とがんの関連研究については、まだ最初の一歩を踏み出したばかりだが、人々が自分の体を気遣った食生活を送ることが必要だ、と述べている。

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癌も、経済の脅迫的な成長も、原発を作るほどのエネルギーの過剰消費もすべて、人間のひとつの特性に根ざしているように思います。

それは仏教でいうところの「貪欲」(とんよく= むさぼり)だと思います。



つづく、、、


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